【10月の言葉】祈りとともに

ナーサリールーム(未就園児プログラム)に参加された方が「園児が本当にやさしいですね。」と言ってくださいました。自分が持っているおもちゃを「これで遊ぶ?」と手渡してくれた。順番が守れなくても「小さい子だからまだわからないんだよね。お先にどうぞ。」と譲ってくれた。幼いうちはまだ他者まで目をむけることができなくても、幼稚園での営みを長く持てば持つほど、やさしい心が育っていくようです。本当にこの幼稚園に集う一人一人が光の子どもであり、宝物であり、誇りです。

長い人生の中でこの幼児期はとても大切だと思います。家族からたっぷり愛され安心した乳児期を過した後は、無限の可能性を秘めた幼児期の出番です。家族だけではなく、お友だちや先生といった他者からも存分に愛されることを体験することがとても重要だと思うのです。この“自分は愛されるに値する存在である(自己肯定感)”という自覚は、他者も等しく「愛されるに値する存在」として相手を思いやることにつながります。また、様々なことに興味をもち、失敗を恐れず取り組める意欲にもつながることとなるでしょう。ちょうど、大きく育つ樹木がまずはしっかりと深く根をはるように、この時期の子どもたちはその後の人生で体験するであろう困難、台風や日照りに負けないようにしっかりと土台を造り、頑丈な幹や伸びやかな枝、美しい花やおいしい果実のための準備をしているのです。それには「愛」という養分が必要不可欠。私たちは日々そのことを忘れずに保育をしていきたいと思っています。

大切なお子さまを預けてくださる保護者の方々は、これらのことを既にご承知の上で、あえて当園を選択してくださっていることが日々実感され、それに答えられるよう研鑽しなければと襟を正す毎日です。当園は今月で創立百年を迎えます。百年前この幼稚園を設立されたメードレー女史は、現在の聖愛幼稚園をどのようにみておられるでしょうか。子どもたちに愛を伝えるために創立されたこの園が、その原点を忘れることなく、これからも末永くその目的のために用いられ、光の子どもたちとともに歩んでいくことができますように、祈りながら歩んでいきたいと思います。