トンビがタカを産む

園長 古川陽子

 プライベートな話で恐縮ですが、私の長女には小学校の教師になりたいという夢があり、今、教育実習のまっただ中です。長女は、大学の友人が脇目も振らずストイックに教員採用試験に注力する姿を見て、そこまで全てを捧げることのできない自分を「教師に向いていないのでは?」と悩んでいました。
 ちょっと話はずれますが、バザー委員の会議では、始める前に委員長さんがみんなに無茶ぶりをなさいます。「部活は何をやってきましたか?」「今日嬉しかったことは何ですか?」などなど。一気に和やかムードになり、素晴らしい場の作り方に感心するばかりです。先日の会議でのテーマは「今思うこと」でした。
 家に帰って、バザー委員さんのこの温かな時間について長女に自慢をし、そして尋ねてみました。いつも指導案と格闘し、日々自分の至らなさを痛感し、ときに涙さえ浮かべている長女に。「今どんなこと思ってる?」と。
 彼女はこう言いました。「今までは周りの人と自分を比べて、自分がその人たちと同じようにできないから、“自分は向いてないんだな”と思ってた。だけど、向いてるかどうかなんて関係ないんじゃないかと思えてきた。自分はそれが好きか、やってみたいと思えるか。情熱を注げるか。他人と比べてじゃなくて、自分がどう思うかってことが重要なんだと思えてきた。」
 こう感じられるのは、指導教諭の大きくて温かな見守りと導きあってこそ。そして、目の前に心から可愛らしいと思える児童の皆さんがいること。そんな恵まれた場所で教育実習できることが大きいと思いますし、長女もそう感謝しています。
 他者と比べて自分の幸せ不幸せを決めることはやめよう。私には私だけの特別な人生があるのだから。神さまが用意してくださった幸せのご計画があるのだから。そんな深読みをし、勝手に勇気づけられているトンビ母さんでした。