【6月の言葉】 生と死を考える

 来る6月17日(日)会津ホスピスケア研究会主催「生と死を考える会津セミナー第20回記念大会」が「大切ないのちを生きる」をテーマに風雅堂で開催され、メインゲストとして「死生学」の第一人者である、アルフォンス・デーケン博士がご講演くださる予定です。同氏は、長らく「死」をタブー視してきた日本社会の根強い風潮の中で、「死の哲学」を開講し、「死の準備教育」を日本で普及させるべく40年以上にもわたって尽力されてきました。「死の準備教育」はとりもなおさず「生の準備教育」で、生まれた瞬間から死に向かって歩き続ける旅人である人間が死を見つめることは、自分の限られた「生」を見つめ、「より良く生きる」ことへとつながってゆくという信念がその活動の底にありました。

 デーケン博士の主張とその働きによって、単に延命を目的とする治療から、患者がいかに最後まで人間らしく生きることができるかを重視するように末期医療のあり方が根本から転換し、ホスピス運動の進展ももたらされました。日本全国に「生と死を考える会」が発足し、「いのち」を豊かに生きることを目指した市民の手による様々な活動が、全国各地で続けられていることも、同氏の存在を抜きにしては考えられません。同氏の年齢、多忙さを考えると、この会津でお話を伺う機会は多分もう無いだろうと思われます。ぜひ皆様にお聴きいただきたいと思います。

 普段、忙しい生活の中で、「生と死を見つめる」ことや「いのちについて考える」ことなく、流されるように毎日を過ごしてしまう私たちがいます。時折、立ち止まって私たちの存在そのものを深いところで見つめなおす時間を持つことで、私たちの人生、毎日がより豊かに、より深いものになってゆくように思います。