【2月の言葉】「これしか」ではなく「こんなに」

 昨年ほどではありませんが、雪の少ない冬になっています。年末年始に積もった雪も大分少なくなりました。ダイナミックな雪遊びが出来ず、子どもたちにとっては少々物足りない冬のようにも思いますが、それでも僅かに積もった雪で出来得る限りの雪遊びを楽しんでいます。そんな子どもたちの姿を見ながら、どんな状況でもそれを受け入れ、生かし、あそびへと繋げてゆく子どもたちの発想に「子どもはあそびの天才だ!」との思いをますます深くさせられています。

 私たちは「もっと雪が多ければ、かまくらも作れるし、大きな雪山を作ってダイナミックなソリ滑りもできる。でもこんなに少なくてはあんまり面白くないなあ」などとつい考えてしまいがち。でも子どもたちにとっては、ほんの小さな雪山でのソリすべりでも(ソリすべりまでいかないお尻滑りでも)何度も何度も繰り返したくなる楽しいあそびです。子どもたちの発想によれば、「これだけ雪があれば、ソリあそびも出来るし、雪合戦も出来るし、小さな雪だるまや雪像作りも出来る。真っ白な雪のカンバスにお絵書きも出来るしカキ氷屋さんだって出来る」なのです。なんたって子どもたちにとっては雪の上を歩いて足跡を付けるだけでも楽しいのですから。

 よく用いられる例で言えば、コップに入った半分の水を見て「これしかない」と思うのか、あるいは同じ水を見て「こんなにある」と思い喜びと満足を感じられるのか。自分に与えられた状況や事柄を、どんな時にもプラスに肯定的に受けとめ、前向きに幸せに生きて行く知恵を、私たちは子どもたちとのかかわりから教えられるのです。子どもたちは、「あそびの天才!」だけじゃなくて「しあわせの天才!」かもしれません。まさに「はっきり言っておく。心を入れ替えて子供のようにならなければ、決して天の国に入ることはできない」(マタイによる福音書18章3節)ですね。


photo by Eiji Yahagi