【2月の言葉】小さき者たちへの讃歌

 小さき者はほんとうに可愛い。これが、私の幼稚園での結論であり、感動です。それは理屈抜きの可愛さです。私にも孫がいますが、またそれとは違った感情です。みんなひとりひとり可愛さが違います。

 小さき者たちはなかなか手強いです。私をじっと見ています。冷静な観察者たちです。時には私の弱点を突いてきます。あっ痛いところつかれたと思うときが多々あります。

 小さな者たちは、いつも夢見ています。寝ている最中の夢ではなく、常に夢を見ています。四六時中、夢を見ています。いいなあ、私もこんなふうにして残された人生を夢見ていけたならなんと素敵なことだろうと思います。それは私にとって見果てぬ夢かとも思います。

 小さな者たちは面白いです。お笑いよりもずっと笑えます。心から笑えます。日々の生活のなかで笑いと縁遠くなっている私にとって、ほんとうにオアシスです。

 小さな者たちは、みな自然愛好者たちです。花鳥風月を私よりもよく感じています。ダンゴ虫とあんなに真剣に遊んでいられます。小さな動物の死にも涙します。なんと、なんと。

 小さな者たちはみな教育者たちです。私は彼ら(彼女ら)に教えられます。教えているつもりで、実は教えられているなあと思うことがよくあります。教育は英語でeducationです。educateは「引き出す」の意味だと高校の英語で習った覚えがあります。彼ら(彼女ら)は、天性の「引き出し屋」です。「園長先生だって出来るよ」と言って私の潜在的能力(?)を引き出してくれます。

 小さき者たちはみな芸術家です。大人みたいに常識にがんじがらめになっていません。天衣無縫とはこのことです。ハッとする形があります。ウーンとうなる色があります。私たち大人が遠い昔にどこかに置き忘れて来たものを持っています。

 小さき者たちは・・・・・・。ほんとうに、ほんとうに。