【3月の言葉】小さき者たちへの讃歌(続) そして…

前号につづいて、小さき者たちへの賛歌を歌いつづけたいと思います。

 小さき者たちは優秀なアスリートたちです。ブランコがこげずにいた春、しかし、すぐにこげるようになりました。青空に向って振り幅が飛躍的に大きくなりました。鉄棒の逆上がりもしかりです。上達が早い。アスリートの極意は、常に挑戦者でありつづけること、と誰かが言っていました。彼ら(彼女ら)は挑戦者たちです。

 小さき者たちは卓越した舞台俳優です。あのクリスマスでの聖劇をご覧になりましたか。お母様たちは、ウチの子ははたして出来るのか、とハラハラドキドキでしたでしょう。なんと、なんと堂々した名優ぶりでした。シェクスピア劇の俳優たちも顔負けです。

 小さき者たちは名監督で、名演出家です。私が保育室を通るたび、彼ら(彼女ら)は、いつも芝居を演じています。その芝居は自作自演です。その遊びは、日常的に仮面舞踏会のようなものです。見ていて楽しくなります。しばらく彼ら(彼女ら)の演劇を見ていたら、いつのまに、私の足に数人が抱きつき、からみついていました。さて、そこから抜け出すのには、私も劇中の人とならなければなりません。私にとって、楽しいひとときです。

 楽しいひととき―至福のときといえば、この年頃の子供たちは、親にとっては今が旬です。ほんとうに可愛いです。子はいずれ親を踏み越えていきます。理屈なしで小さき者たちへの賛歌を歌うのは今をおいてありません。

 最後に、今月をもって私のこの巻頭言を終わらせて頂きます。昨年から続いていた体調不良でこの幼稚園の任務はドクターストップとなりました。ほんとうに申し訳けありません。なにごとも健康第一であることを思い知りました。昨春この幼稚園に来たのも神の御意志であり、今去るのも神の御意志であると確信しております。四月から古川陽子新園長先生を中心とした新体制です。加藤主教、村上主教はじめ越山司祭、教区、教会総力をあげて幼稚園の運営にあたります。創立百周年の年の新しいスタートです。この幼稚園にかかわる小さき者たち、ご父兄の皆様そして先生方に神の祝福がありますようお祈りいたします。いろいろありがとうございました。