【2月の言葉】見えないものこそ

「目に見えるものよりも、目に見えないものを大切に」と心がけながら保育したいと思っています。私たちはときに目に見えるものだけに心を奪われ、人間関係においても好意をもっているということを絶えず表に出し伝えなければ、もしくは受け手としてそれが伝わってこなければ不安になってしまうことがあります。でも、本当に相手を思いやる気持ちは目に見える形で伝わらないものにこそあるのだなあと感じる出来事がありました。

先日、インフルエンザの影響で順延したクリスマスの発表会を行いました。毎年行っているイエス様の降誕劇。台詞を言ったり、歌を歌ったり、大勢のお客さまの前でドキドキしながらも、精一杯でひたむきな子どもたち。その劇の練習中、小さい子の中にまだ心細さが先にたつのか、立っているだけがやっとの子がいました。見せ場は歌を歌う場面。どうしても無言になってしまいます。二人で歌うので劇の進行はできるのですが、やっぱりその子にも歌ってもらいたい。何度か練習して、みんなに励まされ、先生に手伝ってもらって、何度目かにやっと小さな声が出ました!・・・が、程なくしてまた無言に。「そうかぁ、難しいかぁ」と思ったとき、相手の子がその子の手をそっと握り、自分がいつもより大きな声で歌ってくれたのです。皆には気づかれないほど自然に、「大丈夫だよ」ってするみたいに軽く前後に手を振りながら。手を握ってもらった子は、どんなに心強かったことでしょう。

“相手を思いやる”こととはどういうことなのか、教えてもらいました。