【6月の言葉】正しいこと 明るいこと

だいぶ幼稚園にも慣れてきたこの頃。始めての集団生活を体験している小さなお友だちの中には、なかなか自分の思い通りにいかずにお友だちともめてしまう子もいます。例えば今日は鉄棒にぶらさがるのに、自分が先だと言い張る二人組みが言い合いになっていました。どちらも力ずくで場所をとろうとし、「私が先!」の一点張りで埒があきません。間に入ってどうしたらいいか考え、相手の気持ちに心を寄せてみるように導いても、「でも、私が一番にやりたいの!」ということに・・・。そこで、通りすがりのはと組みさんに自分だったらどうするか聞いてみました。そうしたら「○○ちゃんの方が私より小さいから先に貸してあげて、私は次にする。」とのこと。さすが先輩!お話しても分かってもらえないときは、小さい子に譲ってあげるんだ。当事者たちもそれを聞き「お先にどうぞ。終わったら貸してね。」「うん。ありがと。」と譲ることができました。

「どちらの方法を選ぶか迷ったときは、“正しいか”よりも“明るいか”を見極めて選択せよ」とある方に教えていただきました。正しいことってその時代や価値観によって変化することも多いもの。大袈裟に考えれば、ファシズムや人種差別なども当事者は正しいと思っていたのでしょう。「私が先に鉄棒に触ったから私の方が先」という考えも正しいと思います。でも、お友だちと気持ちよく、楽しく遊ぶにはどうしたら良いかの選択は、自分や相手の心が明るくなるかを考えてしなければならないのだと感じてもらいたいと思います。きっとそれは口で説明するのではなく、自分がそのように相手から思いやってもらえることを何度も体験して、自然と身についていくものなのでしょう。通りすがりのはと組さんもそうだったように。

 私たち大人の行動も、「正しいか」よりも「明るいか」をいつも考え、「正しい」と思うことを決して子どもたちに押し付けてはいけないのだなと感じた昼下がりでした。