忘己利他 

園長 古川陽子

 この夏休みを利用して、いくつかの研修に参加してきました。そんな研修の中で、講師の先生がある紙芝居を読んでくださいました。
 『星の金貨』というお話です。少女が次々と自分の持っているものを持っていない人に分け与えていき、最後は着ている下着までも分け与えてしまうという、とても美しい、心に残るお話でした。
 先日テレビを見ていたら、瀬戸内寂聴さんが、天台宗の大切な教えに「忘己利他」があるとおっしゃっていました。「自分のことは後回しにして他の人の幸せを考える」という意味だそうです。「あぁ、この前の紙芝居と同じだ」と思いました。そしてこれは、教育にたずさわる人、もっと言えば誰かの成長のお手伝いをしている人たち皆の根底に流れるべきものだと感じました。忘己利他の精神は、決して自分を不幸にして他者を幸せにすべきということではありません。幸せとは何か、私利私欲を満たすことではなく、他者の幸せを自分の幸せと感じられることが本当の幸せということなのでしょう。子どもたちにとって何が幸せなのかを一番に思い、思うだけでなく実行に移せる保育者でありたいと強く思った夏でした。
 マザーテレサも同じようなお話をされています。わずかなお米を貧しく食べ物のない家庭に持っていったら、その母親はすぐにそのお米を半分にしてお隣の家に分け与えたという話です。私たちは震災以降、この恵みをとても多くの方からいただいたのではないでしょうか。そのやさしさに救われたものとして、私たちは「忘己利他」がどれほど強く愛に溢れているものか実感できていると思うのです。

心のこもった食事

チャプレン 司祭 越山 哲也

先日、興味深い話を伺いました。それは、最近は「鮨」屋が減って「寿司」屋が増えているという話でした。回転寿司屋さんが会津若松でも数店舗あります。料金も安くて家族ずれでも気軽に訪れることが出来て、人気があります。土日や休みの日には大盛況です。
それに対して回転寿司ではない本物の職人さんが握ってくださる伝統的な「鮨」屋さんは年々減ってきているそうです。「鮨」と「寿司」でも機会が握るほうが「寿司」で職人が心を込めて握るのが「鮨」だそうです。本当に美味しいのは魚が旨いと書いて「鮨」なのでしょう。私も食べることが大好きです。そして本当に心のこもった食事を頂いた後は、お腹もいっぱいになりますが、心も満たされます。
聖愛幼稚園でも1週間の内3回はお弁当です。私も子どもたちと一緒に昼食を頂く時間が楽しみの一つなのですが、子どもたちがお弁当箱を開けて「わー、おいしそう!!」「わー、大好物が入っている!!」と嬉しそうにしている姿を見るのが好きです。
時には「この野菜はきらい!」と箸がとまっている時には「大好きな○○ちゃんのために一生懸命作ってくれたのだから食べてみよう」と声がけするようにしています。
お弁当はお家の方から子どもたちへの愛がたくさんつまったものだと思います。「愛」とは心を受けると書きます。幼稚園では「天のおとうさま、今ここに頂くお食事感謝します。アーメン」とお祈りの歌を歌って食事を頂きます。食育の大切さを思うときに、何よりも大切なのは「感謝」だと私は思います。特に、ファーストフード世代全盛において心のこもった食事を大切にしていきたいですね。

根気の秘密

「飽きずに勉強を続ける 根気の秘密」というテレビ番組が放映されていました。是非見て欲しい我が娘は興味を示さず、大人だけがなんとなく見ていましたが、脳科学に裏付けられた大変面白い内容でした。
 その秘密とは。内容を要約するとこのようになります。まず、ポジティブであること。嫌だ、出来ないといったマイナスの言葉は御法度。好き、やりたいという気持ちが人間の脳を活性化させ、その活動を続けさせようとする。次に成功体験を重ねること。そうすると脳は「次もやってやる!」と継続する力を発揮する。ここで大事なのは、100%出来なければだめだということ。小学校レベルの簡単な問題を全問正解するような成功体験を重ね、ミスをしてもやりすごさず、もう一度もどって解きなおし正解することが大切。そして仕上げは、褒めたおすこと。成功したことが素晴らしいこと、すごいことだと言葉にして脳に印象付けることが有効。
 どれもこれも「なるほどね〜」と思いましたが、なんだかこれ、どこかでそう教えていただいたような気がする・・・。と考えて・・・思い当たりました!幼稚園犬クリームのトレーニングで教えていただいたことばかりだったんです。犬が楽しくなるような言葉かけや環境を準備し、失敗を体験させないように「これくらいはできるかな?」といった低い難易度のものを少しずつ重ね、成功したらめいっぱい褒める。失敗したらそのままにせず、失敗したところまでもどって必ず成功させてから終わる。すごい!脳科学に沿っている!
 元来、トレーニングとは縁のなかったはずの動物が、楽しく勉強し身につけていくのだったら、同じ動物の人間にも当てはまるのは当然なのかもしれないと、一人納得したのでした。

スタート!

 いよいよ新しい園舎での、新しい一年がスタートします。「子どもたちに安心できる環境を!」という多くの方々のあたたかな思いで作り上げられた幼稚園です。こんなにも祈りと愛に満ちた幼稚園が出来上がるなんて夢のようです。ここで育っていく子どもたちが、この愛に包まれて、今度は自分たちが周りに愛を放っていく優しい子どもになることを祈っています。
 園舎新築に感謝しつつ、しかしあえて言えば、建物があればそこが幼稚園となるわけではないと思っています。「子どもたちが集まればどこでもそこが聖愛幼稚園になるんですね」とおっしゃっていた保護者の方がいらっしゃいました。本当にその通り。子どもたちはもちろん、先生たち、保護者の方や兄弟姉妹、卒園児とそのご家族・・・。聖愛家族がこの幼稚園そのものなんだなぁと実感しています。
 新しい一歩ではありますが、これまでずっと幼稚園が大切にしてきたことを守り続けて、これまでと同じに誰もが笑顔でいられる幼稚園にしていきたい。いつでも、どんなあなたでも愛されている。あなたはありのままでかけがえのない価値がある。そのことを小さな心に伝えることがこの幼稚園の最大の存在意義だと思っています。
 しかしながら、私たちは完全ではなく、欠けるところの多い存在です。幼稚園とご家庭、地域の方々、子どもたちの周りにいる私たち大人が肩をくみあって、大切な子どもたちを輪の中心に抱いて、歩んで参りましょう。今年度もどうぞよろしくお願いいたします。


 いよいよ新しい園舎での、新しい一年がスタートします。「子どもたちに安心できる環境を!」という多くの方々のあたたかな思いで作り上げられた幼稚園です。こんなにも祈りと愛に満ちた幼稚園が出来上がるなんて夢のようです。ここで育っていく子どもたちが、この愛に包まれて、今度は自分たちが周りに愛を放っていく優しい子どもになることを祈っています。
 園舎新築に感謝しつつ、しかしあえて言えば、建物があればそこが幼稚園となるわけではないと思っています。「子どもたちが集まればどこでもそこが聖愛幼稚園になるんですね」とおっしゃっていた保護者の方がいらっしゃいました。本当にその通り。子どもたちはもちろん、先生たち、保護者の方や兄弟姉妹、卒園児とそのご家族・・・。聖愛家族がこの幼稚園そのものなんだなぁと実感しています。
 新しい一歩ではありますが、これまでずっと幼稚園が大切にしてきたことを守り続けて、これまでと同じに誰もが笑顔でいられる幼稚園にしていきたい。いつでも、どんなあなたでも愛されている。あなたはありのままでかけがえのない価値がある。そのことを小さな心に伝えることがこの幼稚園の最大の存在意義だと思っています。
 しかしながら、私たちは完全ではなく、欠けるところの多い存在です。幼稚園とご家庭、地域の方々、子どもたちの周りにいる私たち大人が肩をくみあって、大切な子どもたちを輪の中心に抱いて、歩んで参りましょう。今年度もどうぞよろしくお願いいたします。

はとぐみさん!!

卒園式で歌う歌が園舎に響く季節になりました。はとぐみさんとの楽しかった出来事が勝手に思い出されて、ゆるみきった涙腺をもっとゆるくしています。
馨文くんは黙っていればジャニーズ系(失礼!)。お休みの時は幼稚園が静かに感じるくらい存在感がある。物事をいろんな角度からみて、いつも明るい答えをだしてくれる。美優ちゃんは出来ることがたくさん増えたね。澄んだ歌声がとても印象的。心が澄んでいるのね。優美奈ちゃんは面倒見がいいけど、実はかわいい甘えん坊さん。ぎゅうって抱きついてきてくれるとかわいくてたまらない。ただいてくれるだけで周りをやさしい空気にしてくれる。将大くんの笑顔は魔法みたい。忙しかったり、つらかったりする人にこそその力を発揮する。どんなことも前向きなやさしい言葉に置き換えてくれる。茉莉ちゃんは自分の世界をちゃんと持っていて、意志がしっかりしている。でもそれを押しつけることはしない、ハンサムウーマン。拓希くんは一回りも二回りも大きくなった。いろんなことに詳しくて、上手にお話ししてくれるから周りからも一目置かれていたね。運動会の組み体操ではかっこよくトップを決めてくれた。涼太くんはお友だちが大好き。面白そうな遊びを開発して、お友だちを誘ってくれる。涼太くんの周りはいつも、お友だちの楽しそうな笑い声で溢れていたね。拓陽くんは人に信頼感を持ってくれている。どんな人でもすぐにお友だちになれてしまう。周りの人たちから愛情豊かにに育てられたことがよくわかる。
どの子も大切な大切な私たちの子どもです。ご家族の皆さまはかけがえのかい家族です。どうぞいつまでもこの幼稚園がみなさまの故郷でありますように。これから歩む道が神さまのお守りと祝福に満ちたものであるように、心からお祈りしております。

1月22日

 月日がたつのは早いものです。ちょっと更新をなまけている間に、工事は進み現在は窓ガラスも入り、外観はずいぶんと完成に近づいてきました。何度か中を見せていただきましたが、日当たりのよい広い保育室、床暖房がある図書コーナー、遊び心のあるデン、保育室に設置された木登りの木などなど、想像するだけでわくわくします。卒園式は新園舎で!を合い言葉のようにして、大工さんたちが寒い中、暗くなってもがんばってくださっています。

待ち遠しいですね。

新年に信念

あけましておめでとうございます。新しい一年が始まりました。
新しいことが始まるときは、無条件にワクワクしますね。 “新しいこと”と言えば、もうすぐ新園舎が完成となります。木をふんだんに使った広いスペース、子どもたちの歓声が聞こえてきそうな趣向を凝らした設備の数々・・・。しかし園舎ができあがるにつれ、本当に大切なのは、そこでどのような保育をするのか、子どもたちが幼稚園で何を体験しどのような成長をするのかというソフト部分であるという思いが強くなっています。そのために、私は何をすべきなのか。何ができるのか。情けないことにどんどん不安になっていく自分がいました。 
そんな私に神さまはヒントをくださいました。この休みの間手に取った本にこんなことが書いてあったのです。「人生の終わりに真価を問われるのは、自分のために使った時間より他の人のために使った時間がどれだけ多いかである。」なるほど・・・。“私”を軸にして考えると、“私”が楽なように、得なように物事を考え行動してしまう。他者の評価が気になったり、嫉妬や焦り、不安といった感情もつきまとう。“他者”へと軸を移そう。不安だなんだと弱音を吐く前に、まず他の人のために時間を使うこと。結果を案じる暇があったら、他の人のためになるかを考え、行動しよう。そんなふうに思わせてくれる言葉でした。
これから、ありがた迷惑のおせっかいが増えるかもしれません。でも迷惑なほど子どもたちのことを、保護者の方々のことを、地域の方々のことを考える幼稚園。目指していきたいと思っています。