12月の言葉 子どもたちは薔薇の花

園長 古川陽子

薔薇の木に 薔薇の花咲く なにごとの不思議なけれど

薔薇の木に薔薇の花が咲くのは当たり前のこと。薔薇の木に他の花が咲くことはない。自然の神秘や摂理をうたっていると解釈される北原白秋の詩です。
この詩を思い出したのは、日本初「お弁当の日」をつくった竹下和男先生の講演をお聞きしたからです。「お弁当の日」とは小学生が自分で食べるお弁当の、献立作りから買い出し、調理や片付けといった全ての工程を一人だけで行うという食育の取り組みです。涙がかわく間がないほど胸に迫る内容でしたが、特に強く心に残ったのは次の言葉です。
〜 人は置かれた環境に適応する 〜 一人では生きていけない子どもたちは、与えられた環境に適応するようにプログラミングされている。大学生にお袋の味は?と聞くと一位がマクドナルドだったが、これはその子たちが育ってきた環境に適応したまでのこと。掃除、洗濯、買い物、食事の準備…一日の大半を親は子どものために費やしている。その時間を嫌々ではなく「あなたのお世話ができて幸せ」という気持で楽しくできたら、子どもは生まれてきてよかったと思え、私もこんな親になりたいと憧れを持ち、実際に親になったときに同じように幸せな育児ができる。家の人に褒めてもらい、喜んでもらうことで脳の前頭前野が育ち、共感する力や意欲が育つ。人は置かれた環境に適応する。だとしたら、子どもがよく育つ環境を大人がつくればよいのだ。
“薔薇の木”という環境が“薔薇の花”を咲かせる。“薔薇の木”が子どもをとりまく環境だとするならば、子どもがどのように育つのかは環境次第だといっても過言ではないでしょう。そしてその環境をつくるのは私たち大人であり、子どもたちが過ごす一日一日であり、時間の過ごし方であり、衣・食・住なのだと思います。

お母さんの笑顔

チャプレン 司祭 越山 哲也
10月18日(土)に幼稚園のホールで「かみさまとのやくそく」の上映会を行いました。私自身が前から機会があれば是非見てみたいと思っていた映画でした。音楽もナレーションもない約2時間のドキュメンタリー映画でしたが大変深い内容で皆さんにも是非見て頂きたいなと思いました。また上映会を計画しようと思います。
 映画の冒頭で胎内記憶について研究されている医師の池川明氏が次のようなことを語っていました。

胎内記憶を語る子どもたちが共通して「ボク(私)は、人の役に立ちたくて生まれてきた」と言うのです。ちなみに“人”とは「お母さん」のことだそうです。
「お母さん」がいつも笑顔でいられるように生まれてきたというのです。
子どもたちのただひとつの真の願いは、「自分のそばにいて、いつも笑顔でいてくれること」です。

子どものために私たちは様々なことを考えます。そのためにお金もたくさん使います。
そのことは親の務めとして大切なことです。しかし、大切な事を見失ってはいけないと思いました。子どもは「お母さんが笑顔でいること」を望んでいるのです。
子育ては、思い通りにいかないことや大変なことがいっぱいありますが、それを乗り越えるために必要なのはお母さんの笑顔なのではないでしょうか。

極上の幸せ

園長 古川陽子
 職員室にいると保育室では味わえない幸せを感じることができます。
 廊下を通る子どもたちが、通る度に「せんせ〜!」と手を振ってくれるとき。窓をガラッと開けて「何してるのぉ?」と話しかけてくれるとき。「見て見てー!」と廃材で作った制作物をみせにきてくれるとき。 子どもたちのまっすぐで澄んだ瞳にであうとき、ほんわかとした幸せを感じます。
 幸せは子どもたちがくれるとは限りません。職員室で話される先生たちの会話。「○○ちゃんのパンツって魔法のパンツなんです。オムツがとれただけじゃなくて、お姉さんパンツにしたらお着替えやお片付けもとっても上手になったんですよ。」「はと組さんの団結力がすごいんです。話し合いも上手ですぐに解決しちゃうんです。お泊まり保育が終わるとなんか違いますねー。」「お帰りのときに子どもたちが笑顔で帰って行くのをみると、嬉しくなりますよね。」職員室はいつも子どもたちの話題で溢れています。こんな環境に身をおけることに、感謝と幸せを感じます。
 「幸せになろうと思わないで下さい。 幸せをつかみに行って幸せをつかんだ人は1人もいません。 幸せは感じるものです。」と心の恩師、金八先生はおっしゃっていました。幸せを求めることに一生懸命になってしまうと、誰の周りにも普通にある極上の幸せに気づかないということなのかもしれません。
久しぶりに秋の季節が長く楽しめそうです。心地よい空気、綺麗な空、美しい虫の音。私たちの周りに溢れている幸せ、しみじみ感じていたいですね。

見よう見まね

チャプレン 司祭 越山 哲也

 私は、朝の通園時間と午後の降園時間に門扉の所に立ちながら子どもたちの様子を見るのが楽しみです。築山の上で手作りのマイクでコンサートごっこをしている子、活発に園庭を駆け回っている子、そして微笑ましいのが年長組の子の行動を年中、年少の子たちが追いかけている姿です。鉄棒、雲底、ホッピング、駆けっこなどを上手に出来るお兄さんやお姉さんの姿をまねて自分たちも出来るようになりたいと思う下のクラスの子どもたちのきらきらした目の輝き、そしてお兄さんお姉さんたちのちょっと誇らしげな姿は本当に可愛いです。このことはお絵かきやお歌、そしてお祈り、その他の活動すべてに共通しています。
見よう見まねでいろいろなことを子どもたちは感じながら、学んで体得し成長していきます。考えてみれば私も司祭の職務のいろはについて本や研修で学びましたが、多くは先輩の姿を見て見よう見まねで学んできました。(現在も継続中ですが・・・!)
理屈で覚えるのではなく、体で覚えていく、身につけていくことを幼児期にこそ大切にしなければならないと幼稚園での子どもたちの日常の姿から感じています。

子どもの笑顔がお迎えします 

園長 古川陽子
 突然ですが写真ってすごいと思います。撮るのも楽しい。と言ってもまだまだ使い捨てカメラ程度の技術と知識しかないのですが。ここ数年、プロ級の腕を持つ震災ボランティアの方が、何度か幼稚園の子どもたちを撮ってくださいました。子どもたちの表情がとてもイキイキとしていて可愛らしく、あまりに素敵だったので、園のリーフレットやホームページに使わせていただきました。こんな写真がとれたらいいな〜と憧れています。
まずは形からということで、幼稚園で一眼レフカメラを購入し、本を読んだりネットを見たりして知識を得・・・ようと頑張ってみたのですが、結局「習うより慣れろ」と自分に言い訳し、とりあえず撮ることに専念。玄関に飾ってある子どもたちの顔写真も今年は担当させてもらいました。こだわったのは「みんなが笑顔であること」。それも自然な笑顔で。みんなが笑っている写真でお迎えしたかったのです。
そう思って撮ると、これが難しい…。いい笑顔だったのにカメラを向けた途端おすまししてピースサイン。きっとこうやって写真をいっぱい撮ってもらったのでしょうね。あたたかな光景が目に浮かびこちらの方が笑顔になってしまいます。
写真を撮っているうちに気がついたことがあります。“世界はいつも決定的瞬間”ということ。一瞬一瞬は確かにそこに存在し、そして二度とは戻らないという当たり前のこと。きらきらと輝いている子どもたちの一瞬をちゃんと残してあげたい。しっかりとその瞬間も寄り添っていてあげたい。そんな思いを再確認させてくれたカメラ。これから極めたい(?)と思います。どなたか是非ご教示を!

心をあわせる

チャプレン 司祭 越山 哲也

 ♪こころをあわせ めをとじて みんなでおいのりいたしましょう
  かみさまいっしょにいてください

 穏やかな気持ちの良い季節を迎えました。桜の花も咲き、幼稚園の庭にも花や草木の芽が息吹く中で子どもたちは毎日元気に過ごしています。
幼稚園では年間を通してたくさんのお歌を歌います。季節の歌はもちろんですが、聖歌もたくさん歌います。その中でもほぼ毎日必ず歌う聖歌があります。そして子どもたちが最初に出会う聖歌であるかもしれません。それが「こころをあわせ」です。これは礼拝の時にはもちろん歌いますが、お昼の食事を頂く前に歌います。子どもたちは小さな手を組み合わせて、目を閉じて、歌います。
最初は口が開かないお子さんであっても、毎日お友達と繰り返し歌っていく内に自然と覚えて口ずさむようになっていきます。こどもたちの祈りの姿は本当に可愛らしく美しく感じます。「歌」は私たちの「こころをあわせ」てくれるものかもしれませんね。
どうぞお子さんがお家で幼稚園で歌う歌を口ずさんでいたり、幼稚園での出来事の事をお話ししてくれたらその時を大切に「心を合わせて」あげてください。それは、神さまから与えられたかけがえのない時間だと思います。 
今日も子どもたちの元気な声が園舎に響いています。

スタート!

園長 古川陽子
例年になく雪の少ない冬でしたが、名残惜しげに雪がちらつく日もあり、春の草花も顔を見せてよいのかと、戸惑っているようでもあります。そんな中でも着実に春はやってくるのですね。いつの間にか桜の枝先には可愛らしい蕾が目立ち、おだやかな日差しは明らかに冬のそれとは異なったやわらかさを抱いています。気持ちの良い季節となりました。

このさわやかな風の中、2014年度がスタートします。新しいお友だちも増えました。早くお顔が見たい。一緒に遊びたいと待ちきれない思いでこの春休みを過ごしました。ようこそ!これからどうぞよろしくね。どんなことがあるのかと楽しみでわくわくする気持ちと、お家の方から離れるなんて不安で寂しい気持ちと両方感じていることでしょうね。大丈夫。ゆっくりでいいから、少しずつ幼稚園になれていきましょうね。楽しいことをたくさん準備していますよ。やさしいお友だちも待っています。

進級して一つお兄さんお姉さんになったお友だちも、そんな時期を経験したよね。今ではすっかり頼もしい優しいお友だちになりました。この一年も一緒に楽しみましょうね。いっぱい遊んで、いろんなことを感じて、心も体もたくさん動かしましょうね。

保護者の皆さま、この一年をご一緒できますことを心から嬉しく、感謝の思いです。今年は新たに教員が増え、体育教室も始めます。笑顔あふれる一年になるよう教職員一同全力で取り組みたいと思っております。今年一年もどうぞよろしくお願いいたします。